「国民感情」等という都合のいい言い訳で政を行わないで頂きたい。

散々世間を騒がせている福島第一原発の問題。
国家戦略担当大臣の玄葉氏が、2030年迄のエネルギー基本計画に対して14基造るという計画はあり得ない。大きな見直しを迫られる等と発言したそうである。

玄葉氏は科学技術政策等の担当として活躍してこられた御方だそうだが、先の発言を聞いて、所詮は法学部卒の政治屋さんなのだろうなと思わざるを得なかった。

何も、原発をジャンジャン作るべきだと言っているのでは無い。
ただ、14基作るという数字だけを槍玉に「あり得ない」等と発言されても、どうにも発言に魂が感じられないのである。

ここはひとつ、冷静に考えてみるべきである。
果たして、今回の大震災で福島第一が全くの無傷だったとしても、今後の原子力政策は変わらず「新設等あり得ない」だったのだろうか?
はっきり言ってしまえば、原発が事故るととんでもなく危ないという誰もが知っていた筈の真実がいつの間にやらすっかり忘れ去られていて、これ程までに甚大な被害が生じた事でようやくそれが思い出されたというだけの話なのである。
つまり、原発の建設計画なんて福島第一の事故があろうが無かろうが本来は揺るぎないものであるべきだったろうと思うのだが、どうも現政権を担う政治屋連中にとっては「今は国民感情が第一」らしいのである。
少なくとも、私にはそのようにしか見えない。

…改めて問題を整理しよう。

■今回の震災で明らかになった問題

  • 原発の安全審査が余りに杜撰で、想定外の災害を想定したものではなかったこと。

■今回の震災の影響とは関係無く、原発が抱えている問題

  • 原発を運用する事が、言う程クリーンでも無ければ低コストでも無いということ。
  • その一因として、高レベル放射性廃棄物の処理方法がガラス固化体による‘問題の先送り的手法’しか用意されていないこと。
  • 尚且つ、そのガラス固化体の製造技術が全く確立されておらず、どうやらこの先暫くの間は状況が改善しそうにないということ。

以上を勘案した上で、政府に実施して欲しい、いや実施すべき項目を以下に列挙する。

  1. 現在運転中の原発について、至急安全審査の内容を精査する。問題が見付かった項目については国民を含め広く周知し、いつまでにどういった対策を施すべきかまとめ、直ちに実行へ移す。尚、実行する上での税金投入は止むを得ない。
  2. 浜岡原発のように大きな誘発地震が容易に想定される原発については至急運転を停止し、そうでない原発については細心の注意を払って運転を継続する。停止された原発については、誘発地震の危険性が殆ど無くなった時点(おそらくは6月以降)で運転を再開する。
  3. 有識者を集め、原発を長期的に運用していった場合に生じる恐れのあるリスクを1年以内に洗いざらい吐き出させる。それらのリスクが現状の技術の延長線上で解決可能なのか、新規技術開発が必要なのか、それとも現状想定しうる新規技術では到底回避困難なのか分析させる。前記分析の結果、国策として原子力技術を今後どう推進していくのか判断する。

何しろ私が言いたいのは、今の政治屋がやっているような人の顔色を伺うようなやり方では無くて、もうちょっとシステマチックに物事を進めるべきだという事なのである。
それは決して難しい議論をしろとか(或いは難しい議論で国民を煙に巻けとか)いう事では無く、とかく流されやすい国民感情なんてどうでも良くて、説明を聞かされたら納得出来るような政治判断つーものをして欲しいという、ただそれだけの事なのである。
昨今のような「国民感情第一! だからダメ!!」なんてのは政治判断じゃなくて、単なる現場放棄の言い訳に過ぎないのである。

但し、議論ありきでいつまで経っても結論が出ないというのは本末転倒である。
出来る出来ないの水掛け論ではなく、何が出来て何が出来ないのか、出来ないというのは何処から何処までが出来ないのかをはっきりさせるのが本来あるべき姿だろう。
とは言うものの、今の政治はその基本中の基本とも言うべき所が全く出来ていないのである。何とも嘆かわしい。
蓮舫でも議長に据えて(但し技術には口出しさせないで)トップの技術者連中を集めて議論させれば、ちょっとはマシな結論が出るんじゃないかと思うんだがね。

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