原発国民投票の愚。

みんなで決めよう「原発国民投票」プロジェクト

「コクミントーヒョードットコム」とは、これまた大層なドメインを御用意なさったことだ。
いずれ何か書きたいとは予てから思っていたのだが、改めて企画内容を読み返してみると余りに稚拙過ぎて泣けてきた。

私がこの活動に対して相容れない点は、以下2つに集約される。

1. 企画の主旨が余りに曖昧である事。
前記サイトの主旨説明には日本の原子力発電の将来をどうするのかという大事な問題について、主権者が直接の決定権を握るための国民投票を実現させることを目的として活動しています。とあるが、原発に関する「ナニ」を国民投票させたいのかが明示されていない。
賛同人の顔触れを見ても反原発論者ばかりが名を連ねているし、「荒川強啓デイ・キャッチ!」のようなニュースバラエティ内でも、当然の如く原発の「是非を問う」国民投票と明言されている。「反原発のための国民投票」と正々堂々宣言すればいいのに、一番肝心な所をぼやかしているのは責任逃れとしか言えない。そもそも彼等が言う「原発」とは、原発の開発・製造・設置・輸出入等々、原発の一体何なのか。とにかく、何がしたいのかがよく解らない。
2. 政治判断に委ねるべき事項を無知な国民に押し付けようとしている事。
原発政策」という言葉にも表されるように、原発の如何は本来政治側で判断されるべき事項である。政治側の体たらくはさておき、エネルギ・産業・国防等という様々な観点から国家戦略として高度に判断されるべき事項を、ドシロウトのドシロウトによるドシロウトの為の手段(=国民投票)で決定しようという発想は余りに安直過ぎる。
主催者はこの極めて重大な案件は、行政府や立法府が勝手に決めることではなく、主権者である私たち一人ひとりの国民が決定権を握るべきではないでしょうか。等と語っているが、この下りに注目しても、何が極めて重要なのか一言も語られていない。このような状況下において、国民が決定出来る項目は何一つ無い。

兎角、昨今の反原発ブームを利用した便乗商法的なものが横行している現状には辟易している。
そんな事やっている暇があったら、もっと国民目線で議論すべき課題は腐る程あるだろうに。年金問題とか。

尤も、国政選挙ですら投票率が平然と半数を割り込む今の日本国において、自己満足的に国民投票なんぞを実施した所で、労力に見合うだけの成果が得られるとは到底思えないのが実状なのだが。

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