何でも自分を押し通せばいいというものではありません。

朝から『報道-2001-』を観ていたのだが、そこで繰り広げられる討論からは痛々しさすら感じられた。
いきなりだが、私は中学・高校の時代からディベートが大嫌いであった。全ての人間がそれぞれの個性や意見を持って然るべきであるのに、ディベートの場では相手の意見を遮り、自分の意見を押し通しただけ者が勝利する。どんな些細なことでも、私は人と争うのが大嫌いだ。何故なら、そこには勝利する為のロジックだけが存在し、人間性といった自然的な要素が失われてしまうからである。

さて、ここで話を戻そう。『報道-2001-』の目玉は、何と言っても竹村健一氏である。私は竹村さんのようにキレのいいコメントをスパスパ切り出す人間が大好きなので、実家に住んでいた頃からこの番組はよく観ていた。
しかし、一方のメインキャスター共はどうか? 島田アナは司会進行役としてしか機能していない時点で眼中に無いが、黒岩アナに至っては議論を自分の側へ持っていくことにしか頭が無いようで、話を聴いていて気分が悪い。今日の番組中においても首相を批判することしか頭に無かったようであるが、むしろゲストや被害者家族からもっと積極的に話を引き出す謙虚さが必要だったのではあるまいか? 黒岩氏の論調はまさにディベート方式であり、相手の本音を聞き出す上では単なる障害としかならない。折角貴重なゲストを多数呼んでいたというのに、何とも勿体無い話である。

そして、番組進行そのものにも疑問が残る。議論が盛り上がってきた時に限ってCMに遮られてしまい、どうにも話が続かない。CMがあって初めてTV放送が実現するという事実は重々承知の上であるが、今回のような国家の将来を左右する重大なトピックを取り上げている以上、CMを流すタイミングにももう少し気を使うべきである。…尤もこの問題に関しては、TV放送におけるCMのスタイルを根本的に変更しない限り解決しない気もするが。

何しろ、今日の放送中繰り広げられていた議論からは‘責任’や‘不信感’といった短期的・感情的な薄っぺらい側面しか汲み取れず、日本外交の将来像は何も見えてこなかった。やっている本人達は面白可笑しく議論しているつもりなのかも知れないが、観ている側にそれが伝わらなければ意味が無い。
とかく、昨今の報道番組(※報道○テーションやら)はキャスターばかりが独り歩きしていてつまらないのである。TV朝日の誤報にも見られるように、その場限りのネタの面白さばかりが先行してしまってはおるまいか? もっと視聴者に対して強く訴えかけてくるものが感じられるような報道番組を、私は心から期待したい。

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